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数理論理学 確認問題13
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●問1

P を0変数の述語記号(命題記号),Q を1変数の述語記号とする.
自然演繹による次の証明図に,使っている規則 や 解消する仮定番号 を書き足せ.
ただし,∀I 規則を使うときは,変数条件を満たす理由を述べること.

                                 ∀xQ(x)
                                 ────
                       P           Q(a)
                    ────     ────
        P∨∀xQ(x)  P∨Q(a)      P∨Q(a)
        ────────────────
                    P∨Q(a)
                  ──────
                  ∀x(P∨Q(x))
           ─────────────
           P∨∀xQ(x) ⇒ ∀x(P∨Q(x))

●問2

(1) 整数に関する命題「非偶数が存在するならば,全てが偶数とはいえない」を
述語論理の論理式として表せ.ただし,x が偶数であることを P(x) で表す.

(2) 上記の命題の証明を以下に示す.これを自然演繹の証明図として表せ.
ただし,変数条件を満たす理由も述べること.

[証明]非偶数が存在し,かつ,全てが偶数であると仮定し,矛盾を導く.
第1の仮定より,非偶数があるから,それを a とおくと,a は偶数ではない.
第2の仮定より,全てが偶数なので,a は偶数である.
a が偶数ではなく,しかも,a が偶数である,という矛盾が導かれた.

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●答1 (自然演繹の推論規則の利用)

(教科書 p.116 確認問題3.15 の解答を参照)

[解説]

述語論理に対する自然演繹の導出では,∀I 規則を使うとき,
変数条件が満たされることを確認する.
なお,∨E と ∀I の適用順序を逆にした証明も作れる.

●答2 (自然演繹による形式化)

(1) ∃x¬P(x) ⇒ ¬∀xP(x)

(2) (教科書 p.79 例題3.8 を参照)

[解説]

述語論理におけるド・モルガンの法則の,自然演繹による証明を与えている.
なお,証明は含意命題の間接証明を形式化していることに注意する.

述語論理での自然演繹の導出では,∃E 規則を使うとき,
変数条件が満たされることを確認する.

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山田 俊行
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