━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 数理論理学 確認問題9 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●問1 自然演繹の形式体系で,次の三つの仮定から S を導く導出を作れ. ・ (P⇒Q) ⇒ (R⇒S) ・ R ⇒ (P⇒Q) ・ R ●問2 次の各命題を論理式で表し,真偽を述べ,証明または反証せよ. 整数,変数,論理記号,括弧,不等号 ≧,約数の記号 | を使ってよい. なお,対象領域は整数全体の集合とする(つまり x∈Z 等を明示する必要はない). (1) ある整数は,2以上のどの整数も約数にもたない. (2) どんな整数についても,それ以上の偶数がある. ────────────────────────────────────── ●答1 (自然演繹における導出) (教科書 p.111 確認問題3.2の解答と解説を参照) ●答2 (論理式による表現:全称と存在の併用, 証明法:存在と全称の証明) (教科書 p.107 確認問題1.21の解答と解説,教科書 p.51 例題2.8 を参照) [解説] 存在命題 ∃x P(x) を証明するには,P(x) を満たす対象 x の例を1つ示す. 全称命題 ∀x P(x) を証明するには,任意の対象 x について P(x) を示す. 特に,∀x ∃y R(x,y) の形の命題を証明するには, 任意の対象 x に応じて,R(x,y) を満たす対象 y を選ぶ対応付けを与えればよい. (1) の ∀y (y≧2 ⇒ ¬ y|x) の部分や (2) の ∃y (y≧x ∧ 2|y) の部分が, 条件付きの全称や存在であることに注意する. なお,| を使わずに = と ・ を使って表すなら,x|y は ∃k y=k・x と表せるので, (1) は ∃x ∀y (y≧2 ⇒ ¬ ∃k x=k・y) (2) は ∀x ∃y (y≧x ∧ ∃k y=2・k) とも書ける. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 授業のホームページ 山田 俊行 https://www.cs.info.mie-u.ac.jp/~toshi/