━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 数理論理学 確認問題4 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●問1 命題の組 A⇒(B⇒C) と A∧B⇒C が論理同値かどうか,理由と共に述べよ. ●問2 ここでは,整数を対象とする論理式を扱う.つまり,変数の変域が整数全体の 集合Zであると約束し,x∈Z などを暗黙の了解と考えて省略する. (1) 整数に関する主張「3倍すると奇数になる数を2乗しても奇数になる」を 論理式で表せ.整数 x に関する性質「x は奇数である」を「x:奇」で表すこと. (2) この主張が正しいことを証明せよ.証明の方針(何を仮定して何を導くかなど)を 明示すること. ────────────────────────────────────── ●答1 (真理表と論理同値) どちらの命題も,A,B,C が順に 真,真,偽 のときだけ偽,その他の場合は 真となり,両者の真偽は常に一致する.よって,二つの命題は論理同値である. [解説] 含意(⇒)と論理積(∧)の真理値の求め方を確認する.含意については偽になる場合を, 論理積については真になる場合を考えると,手早く計算できる. A⇒(B⇒C) が偽となるのは,A が真で B⇒C が偽の場合であり, B⇒C が偽となるのは,B が真で C が偽の場合である. また,A∧B⇒C が偽となるのは,A∧B が真で C が偽の場合であり, A∧B が真になるのは,A と B が共に真の場合である. 各命題の真理表を書き,二つの表の対応する行の値が一致することを調べてもよい. 基本命題が A,B,C の三つからなる場合は,真偽の組み合せが 8 (=2^3) 通りある. あるいは,論理法則(恒真な同値命題)を使って同値変形してもよい (教科書 p.48 例題2.5 を参照). ●答2 (含意の連鎖による含意の証明) (1) 3x:奇 ⇒ x^2:奇 (2) (教科書 p.46 例題2.3 を参照) [解説] (1) 全称を明示して ∀x (3x:奇 ⇒ x^2:奇) と書いてもよい.また, ∀x (∀y (y=3x ⇒ y:奇) ⇒ ∀z (z=x^2 ⇒ z:奇)) などとも同値である. (2) 証明すべき主張は「A⇒B」の形をしている.この含意の直接証明も間接証明も うまくいかないとき,前提Aと結論Bの間に別の主張Cを挟んで,A⇒C と C⇒B の二つの含意に分けて証明してもよい. ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 授業のホームページ 山田 俊行 https://www.cs.info.mie-u.ac.jp/~toshi/